演題 「更生保護~地域社会とともに歩む」

2024.10.28

日時 令和6年10月28日(月) 13時30分~15時30分

講師  徳島保護観察所所長 太田 岳留 氏

経歴  平成元年  高松保護観察所に観察官として採用される

     平成5年  和歌山保護観察所観察官

    平成26年 和歌山統括保護観察官

    平成28年 徳島保護観察所統括保護観察官

    平成30年 和歌山保護観察所統括観察官

    令和2年  同 企画調整課長

    令和3年  近畿地方更生保護委員会統括審査官

    令和5年  同 総務課長

    令和6年 徳島保護観察所長(現在に至る)

講演内容

保護観察所には、保護観察官と社会復帰調整官がいます。観察官は更生保護の専門家で、心理学、教育学、福祉及び社会学などの専門知識に基づき、対象となる人の再犯・再非行の防止と社会復帰の促進のため、保護司と協働して、保護観察や生活環境の調整を行うほか、犯罪予防に関する業務などに従事しています。調整官は、精神保健福祉士などの資格を有する専門家です。

「更生保護」は犯罪や非行をした人を社会の中で適切に処遇し、地域社会の理解・協力を得て自立し改善厚生することを助けることにより、安全安心な地域社会を作ることを目的としています。保護観察所で対応しているのは、事件を起こし、検察庁で起訴猶予、裁判所で執行猶予、少年院・刑務所で仮退院・仮釈放に成ると保護観察を開始します。

更生保護の成り立ちの源流は、明治21年に設立された「静岡県出獄人保護会社」で、生涯を通じ公益に尽くした実業家の金原明善・静岡監獄の福典獄の河村矯一郎らにより設立されました。釈放者の宿泊保護や就職斡旋を行うと共に、県全域に1700人の保護委員を配置し保護に当たりました。このように、我が国の更生保護制度は明治以来、民間の発意によって生まれ発展してきました。現在では保護司をはじめとする、民間ボランティアに引き継がれています。

更生保護には様々な立場から支える人たちがいます。

「保護司」は保護観察を受けている人と面接を行い指導・助言をすること・刑務所などに入っている人の帰住先の生活環境を調整すること・犯罪予防活動 犯罪や非行をした人について地域社会の人々の理解を深め、地域の一員として受け入れ、その立ち直りを見守り、支援することにより、再び犯罪や非行に陥らないような環境作りを目指しています。

身分は、非常勤で一般職の国家公務員です。給与(報酬)は支給されません。任期は2年で再任でき、76歳までとなっています。全国で4万7000人、徳島には485人います。

「更生保護女性会」は犯罪予防活動を行うと共に青少年の健全育成活動、子育て支援厚生保護施設への支援を行っています。

「BBS会」は非行少年などのともだちとなって成長や自立を支援する、ともだち活動「非行防止活動」を行っています。

「協力雇用主」は過去の犯罪・非行歴により就職が難しい人に対し、自立や社会復帰への協力を目的として雇用する事業主です。

その他、更生保護法人などによって運営されている「厚生保護施設」は法務大臣の認可を受け、宿泊場所の提供するほか就職指導・生活指導を行うなどして円滑な社会復帰を手助けしています。

<追記>

私たちのあまり知らない仕事ですが、保護司が保護活動の中で被害に遭遇したことは新聞報道などで記憶に新しいです。

今日は、題目が「更生保護~地域社会とともに歩む」と堅かったためか出席者が81名と思ったより少なく、次回の多数参加を望みます。

写真 32期 常陸 章

記  34期 清水 進

次回のご案内

日時:令和6年12月9日(月)13時30分~15時30分

講演:「歌うことは生きること」

講師 徳島歌人クラブ会長 日向 海砂 先生

たくさんの方の参加をお待ちしています。