講話『高齢者が知っておくべき人権について』

2020.12.21

  • 開催日時
    令和2年12月15日(火)
    9時30分~
  • 場所
    あわぎんホール4階大会議室
  • 講師
    あいぽーと徳島
    福田 邦孝 先生
講師

講師プロフィール紹介

 阿波市吉野町にお住いの福田邦孝(くにたか)先生は2008年度から徳島県人権問題講師として、現在も大活躍をされております。

  • 1971年から37年間、高校の教員として教鞭を執られ
  • 2008年から徳島県人権啓発推進員として、5年間務められ
  • 2013年から北島町社会教育指導員として、 7年間務められています。

講話内容

人権問題について考える

  1. 性的マイノリティ(少数派)ついて
  2. 新型コロナウイルスについて
  3. 情報化社会の諸々の問題点と今後の課題
  4. 人と皮革の歴史
講師

1.性的マイノリティ(少数派)ついて

  1. 性的マイノリティ(少数派)とは
    • マイノリティとはレズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心の性別と体の性別が違う人、性別に違和感をもつ人)などの方々の総称として使われています。LGBTというのはこれらの言葉の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティと同じ意味合いで使用されることが多い。
    • 性的マイノリティはそのほかにもQ(クエスチョンニング)A(アセクシュアル)X(エックスゼンダー)など性は多様です。
  2. 性の多様性を3要素でまとめると・・・
    • 「〇〇種類ある」というようにはっきりと決めることはできません。
  3. 性の多様性に関する地方自治体の動向
    • 同性パートナーシップ制度がある自治体
      徳島県徳島市 2020年4月1日導入

 性の多様性に関しての知識の無さを強く感じるお話しでした。
今はまだ性的マイノリティを身近な存在として感じたことのある人は、あまり多くはないかもしれません。けれども最近では、テレビ・新聞などのメディアで「同性パートナーシップ制度」とか「性的マイノリティ」「LGBT」などの言葉を聞くことが増えてきました。性の多様性を知ること、理解することにより「LGBT」当事者がカミングアウトしやすい環境つくりが必要だと感じました。

2.新型コロナウイルスについて

  1. コロナ感染症拡大による差別と偏見への対応
    新型コロナウイルス感染症に関する問題5領域“人権侵害”“差別”“教育”“経済”“医療福祉”についてのお話がありました。
    感染者だけでなく感染者の家族・感染の疑いをかけられた人・感染者が出た職場や学校等・運送業関係者・医療従事者、関係者、家族・中国や海外にルーツのある人など海外ではヘイトクライムも起きている。
  2. コロナ後の課題
    新型コロナウイルスには3つの感染症という顔があります。「病気」「不安」「差別」はつながって、私たちの生活に影響を及ぼしています。
    感染症の差別的扱いや言動は人権問題です。決して許されるものではありません。
    この負のスパイラルを断ち切ることが大事です。

3.情報化社会の諸々の問題点と今後の課題

  1. スマホ依存から子どもをどう守るか
  2. コンピュータの両刃の剣(スマートシティとプライバシー保護)
  3. インターネット上の誹謗・中傷に関する総合的な対策発信者情報開示に関する取組等

重大な人権侵害事案において名誉棄損、プライバシー侵害等に該当する場合で、削除が相当であると認められる場合に迅速な削除等の対応が行われる環境を整備するとしている。

4.人と皮革の歴史

  こうにん天皇(780年8月)牢固で耐久性のある甲胄の製革を命じた。その後、武具を必要とする戦国大名は皮革の製造として屋敷を与え手厚く保護し上納を義務付けた。戦国期が終わると部落は、これまでの清掃や刑吏・警察の仕事に加えて皮革製造の仕事も位置づけられるようになった。

人と皮革の歴史
人と皮革の歴史

DVDを使用して解説がありました。
「河原者」とは「皮鞣し工程」や『皮干場』として川の水と河原、土手が必要であったことで河原周辺に住み着いた専門職人のことです。
また一部没落した人々が河原で、屠畜・皮革集団に入ってきたことはあると思うが、もともと仕事に適した河原の側に居住していた皮革業者が、差別が強まるなかで「河原者」と呼ばれ差別をされるようになったという歴史を知ることが出来ました。

  • 「鞣(なめ)し」
    皮の腐敗しやすい脂を除き柔らかくする方法
  • 「膠(にかわ)」
    動物の皮や骨・腱などのコラーゲンに熱を加えて抽出したものです。

 私たちの生活に欠かすことのできない、接着剤として楽器・建築・日本画の画材に、またフイルム・食品・医薬品・化粧品として使用されていることなど知らなかった事柄を聴くことが出来ました。

検温・アルコール消毒を徹底し、椅子の間隔を保ち、全員マスク着用での安全に講演会をおこなっています。 

今回は、急に寒さが厳しくなったこともあって、参加者が82名とこれまでより少なく残念でしたが、有意義な講演会でありました。

次回講話

2021年1月14日(木)
阿波銀ホール4階大会議室
AM9時30分~

『母国の生活・習慣と徳島に住み感じたこと』
イ・ヨナン(韓国)
アパルナ・マタレ(インド)
お二人のお話をお伺いいたします。
多勢のご参加をお待ちしております。

写真:32期 常陸
記:31期 蔭山